拝啓、もっさま

あれは、親が珍しく車で仕事に行かなかった日のこと。
私は地元の友人を誘い、北久里浜のラーメン屋へ行こうと車を動かした。
親が夜まで戻らないことは、会話から推察出来たので、
それまでに帰ってくれば、何ら問題は起こらないだろうと思っていた。
懐かしきバイト先に車を止め携帯で連絡し、友人を待った。
間もなく来た友人を乗せ、さあ楽しいドライブの時間の始まり、と、
思ったのも束の間、


エンジンがかからない。


しかしスピーカーからはこちらの心境などお構いなしに音楽が流れている。
とすると、バッテリーが上がったわけではないのだろう、冷静になれ。
そこで私は、また一つ異変に気付かされた。


キーが抜けない。


すっかり気が動転し、車に詳しそうな友人に電話をした‥‥‥‥‥出ない。
勝手に車を持ち出した上に、JAFのお世話になるなどもってのほかだ。
全てを投げ出し、現実から逃避しようとした矢先、初歩的なミスを発見した。


ギアがドライブのままだ。


これを見つけた時の安堵感は、未だかつて味わったことのないものとなった。
エンジンがかからないのも当たり前、キーが抜けないのも当たり前。
当たり前が当たり前でなくなる時、頼れる人がいる、それだけでもう、充分。


ってなことが起こったのさ。




『塩や』
世界中の様々な塩が試験管やフラスコに詰められて展示されている店。
でも納得。
食べ終わった残り汁に幾つもの塩を入れて味を確かめようとする姿は、
化学者。
ごはんですよの様なノリがこれまた塩味を引き立てる。
本来ならパサつきそうなチャーシューがジューシーさを保持している。
加えて、店員がかわいい、文句なし、いや、店、遠い。